スリーサークルの記録
僕は今、SAAのスリーサークルを使っている。
日本にSAAは無いし、SAAメンバーもいない。
だけど自分のセックスアディクションの回復のためには必要だ。だから使っている。
AAメンバーのスポンサーの提案で、海外のミーティングに参加してみた。
そこで、たまたまフランスに住んでいる日本人のSAAメンバーを紹介してもらった。ありがたい。
今はその人に、スリーサークルを見てもらっている。思いつくままに現状を書く。
(僕のこの最初の経験は、時間と共に風化していくので、文字に残している。後々、日本のSAAにとって貴重な資産となるかもしれない。)
僕の今のサークルズは以下の通りだ。
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⚫︎インナーサークル:露出、盗撮、痴漢行為
⚫︎ミドルサークル:ポルノの視聴(長時間or外出先or虐待的な内容orインナーサークル行為の再現)、性的な妄想に耽ること、見知らぬ女性の身体を凝視すること、ターゲットを物色して街や店内を徘徊すること、女性の後をつけること、待ち伏せ、声かけ、急接近すること、見知らぬ女性にポルノの画面を見せつけたり、大音量で鳴らすこと、ナンパ
⚫︎アウターサークル:プログラムに取り組むこと、日々の棚卸し、祈りと黙想、他の人を助けること、妻や周りの人たちへの埋め合わせを続けること、他の人の気持ちを考えてその人たちのために働くこと、趣味の音楽を楽しむこと、ギターの演奏、宅録、音楽活動、友人たちと遊ぶこと、妻とのデートやドライブ、日々のコミュニケーション、仕事を誠実にこなすこと、他の人を頼ること、相談すること、気持ちを隠さない、正直に生きる、リラックスする、温泉に入る、美味しいご飯を食べる、タバコや酒はほどほどに嗜む、映画を見る、お笑いを観てよく笑う、ライブを観に行く、挨拶をきちんとする、感謝の気持ちを忘れない
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これを、チャットで送った。受け取ってから、1日くらい考えてくださり、
そして今夜、「電話をしませんか」と言ってくれた。すぐに、予定を取り付ける。
日本とパリの時差は−8時間。向こうはランチタイムの短い時間でサークルズについて色々と教えてくれた。電話した時間は41分間。彼は、短い時間で要点を端的にまとめて話してくれて、最後に「質問はありますか?」と聞いてくれて、なければ終了。結構シンプル。
彼が教えてくれたことを以下にまとめる。
【スリーサークルズの運用方法】
①「インナーサークル、ミドルサークル、アウターサークル」はその人の成長に合わせて、変更されていくもの。だんだん変わっていくフレキシブルなツールだから、一度決めたらずっと同じという種類のものではない。
②「インナーサークル、ミドルサークル」は、自分一人では変更しない。変更する際には、スポンサーもしくは信頼できる人(実際にSAAのスリーサークルを使っていてプログラムへの理解がある人が望ましい)に見てもらい、お互いの合意のもとで初めて変更されるもの。
③「アウターサークル」は自由に変更可能
④スリーサークルズを変更したとしても、即適応されるのではなく、24時間後に初めて有効となる。つまり、SAAのスリーサークルには時間マージンがある。この24時間以内に、「やはりこの変更は危険だ」と感じた場合には、再びスポンサーもしくは信頼できる人と相談して、元に戻すことができる。
⑤スリーサークルは決して固定化されるものや、ルールではなく、回復のプロセス(過程)そのものである
⑥通常、性的衝動や強迫観念に捕まった私たちは、何がインナーかミドルかアウターか、といったことを思い出すことすらできない。だから、スリーサークルは常にメモか何か(スマホでもOK)に書いて持ち歩き、常に確認できるようにする。
次に、彼が提案してくれたことをサークル別に記す。
【インナーサークル】:
インナーサークルに追加する行為は、それをやれば「⚪︎ぬか、捕まるか、病院送り」になると明らかな行為。いわゆる「底つき行為」。
インナーサークル行為を再び行うことを「アクティング・アウト(行動化)」という。
行動化することを「スリップ」と呼ぶ。スリップしたらソブラエティは0日となる。
インナーサークルの行為は、私たちが完全にpowerless(無力)で、共同体に参加し続けている理由とも言える行為のみを追加する。
人によっては、風俗通いや、不倫、薬物を使用したセックスなどが挙げられるかもしれないが、僕はそれらを一度もやったことがないので、追加していない。
インナーサークル行為は通常、そんなに数が多くはないはずだ。
私たちは、インナーサークルの行為をやりたくてやりたくて堪らないわけだが、ここに挙げた行為をやりたくなっても、自分を責めないこと。セックスアディクションとはそういう病気なのだから。
【ミドルサークル】:
ミドルサークルの行為は、インナーサークルに追加するまでもないが、その行為を続けていると「やがてインナーサークルの行為に発展するリスクのある行為」を追加する。
つまり、ミドルサークルの行為を行なっても、スリップにはならない。ソブラエティも保ったままでいられる。僕たちは、ミドルサークルの行為で、ソブラエティの綱渡りをすることができる。
しかしこれは、単に「危険信号」という意味だけではない。僕たちは通常、「ミドルサークル」の行為から学びや教訓を得て、成長することができる。
ミドルサークルは試行錯誤のためのサークルだ。
僕たちは自分に厳しすぎたり、甘すぎたりする極端さからの脱却を、つまりは回復に必要なバランス感覚を、この「ミドルサークル」から学んでいくのだ。
そう考えると、インナーサークルの行為もミドルサークルの行為も、単に忌まわしいものではなく、与えられたものであることが分かるようになるだろう。
〈彼の具体的な提案〉
・ポルノの視聴の内容を細かく設定しているが、単に「ポルノの視聴」だけに削る方がシンプルで分かりやすい。どうしても細かくしたいなら、時間制限を設ける人もいるとか。
・「見知らぬ女性の身体を凝視すること」は、海外でも「あるある」らしい。特に春から夏にかけて、肌の露出が多くなる時期はこの話題がよく持ち上がるそう。だけど、魅力的な女性(あるいは男性)に惹かれるのは、人間の本能で、それ自体が悪いものではないことを決して忘れないこと。男ならおっぱいが大きい女性や、お尻が綺麗な女性に見惚れるのは自然なことだし、時には下半身が反応することも自然なのだ。しかし同時に、私たちアディクトは異常な反応を示すことも忘れてはならない。だから、この場合には、「3秒ルール」が有効だそう。3秒間は見つめることを許そう。
【アウターサークル】:
アウターサークルは、インナーサークルを防ぐ行為および活動。
僕たちは通常、強迫観念に捕まると、孤立していく。自分の殻に閉じこもり、周囲との関係性をシャットアウトして、ゾーンに入る。見えないし、さわれない、無敵の透明人間のように錯覚する。
アウターサークルは、孤立しないための行為を追加していく。追加は基本的に自由。
〈彼の具体的な提案〉
・アウターサークルに「ポルノなしのマスターベーション」を追加したらどうか。マスターベーションには、実に様々な偏見がつきまとう。特に、私たちセックスアディクトは、マスターベーションに対して「恥ずかしいことだ(shame)」という感情を抱いている場合が多い。僕もそうだ。しかし、マスターベーションは明らかに神が私たちに与えた行為であることを忘れてはならない。医学的にも、マスターベーションを定期的にすることは、精巣を健康的に保つために必要な行為だという。しかし、僕たちセックスアディクトは、この行為を乱用しすぎた。だから、「完全に断つ」という人もいるだろう。しかし、彼はさらに別の考え、つまり「健全なマスターベーションをできるようになれること」を提案してくれた。
それに対して、僕は「強迫的な空想か、ポルノなしではマスターベーションできません」と率直に気持ちをぶつけた。彼は深く共感してくれた。たしかに、今の僕には、ポルノなしのマスターベーションなんて考えられないかもしれないけれど、同時に、マスターベーションでインナーサークル行為を避けられることを経験として知っているはずだと言う。外出先でどうしてもムラムラした時に、我慢して我慢してスリップするくらいなら、「今自分はムラムラしてる」と認めて、駅やコンビニのトイレでマスターベーションしてスリップを避けられるのなら、それは歴としたアウターサークル行為だと言えるそうだ(トイレを使わせてもらったら、ちゃんと買い物はしよう)。今の僕には、到底受け入れ難い事実だったけれど、彼は「アウターサークルに追加する行動は、それが道徳的に正しいかどうかではなく、それがインナーサークルの行動化を避けるために実際に役に立つ(有用性があるか)がどうかで決めるのだ」と教えてくれた。
・ミドルサークルでも述べたが、綺麗な女性を「3秒くらいは見つめるのを許す」を、アウターサークルに追加したらどうか。
・「日々の棚卸し」のほかに、スポットチェックインベントリーを追加したらどうか。日常で些細な感情の起伏があった時に、こまめにチェックして、場合によってはすぐにスポンサーか信頼できる人に相談すること。
・「祈りと黙想」はとっても効果がある
・音楽もいいね。特に誰かのライブやコンサートを見にいくことは、孤立を避ける良い手段だ。音楽はハイヤーパワーが人間に与えた素晴らしい楽しみの一つ。
・友人や妻と遊ぶこともとてもいい。コミュニケーションは大切だ。
・とにかく、困った時には、他の人を頼ろう。スポンサーやパートナーにチャットを送ったり、電話をするのは、とても実践的で効果的だ。だけど、とても勇気がいることだ。そんな時はハイヤーパワーに祈ろう。他の人に頼る勇気が与えられるようにと。
・「ブックエンディング」というのも有効だ。何か大きなことに取り組む、前と後に誰かに連絡することだ。
・プログラムの文献を読むことも追加したらどうか。
・ミーティングやグループ活動に参加することも追加したらどうか。プログラムの仲間と関わるのも孤立を避けてくれる。
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以上。
今日はここまで。